俺様女装生徒会長と毒舌会計がいる日常


「…………」



おかしなものが目に移りました。あれ、ここって理科室ですよね。

一回教室からでて「理科室」と書かれたプレートを確認します。間違いないです。



「ごきげんよう、青井さん。そんなところに立っていないでどうぞ中にお入りくださいな」

「……さては騙しましたね」

「第一声がそれか!」



そうです。

わたしの目の前には金髪美少女な生徒会長がいたのです。正確には男ですが。あの変態です。


よくよく見るとこの部屋が理科室ではないこともわかってきました。

広い教室には長机が四つ会議室のように四角く置いてあり、あとは本棚が二つと冷蔵庫らしきものが部屋の隅にあるだけでした。これはもう理科室どころか、生徒会室以外の何ものでもありません。だって生徒会長がいるんですから。



「ということは梅原先生もお仲間ですか」



あの一見ほわほわした空気を醸し出している先生がそんな方だったとは。残念でなりません。



「梅ちゃんは今年度からうちの担当教員だからな。挨拶がてら少し利用しただけだ。扱いやすいという点では実に適任者だぞ」

「下衆の極みです」



しかし先生が共犯者ではなくて本当によかったです。わたしの癒しをとられてはたまりません。

「理科室」のプレートはどうやら生徒会長がすり替えたものだそうです。いますよね。無駄なことに真剣になる人って。理解に苦しみますが。
< 13 / 14 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop