好きだと思うんですがっ!?

今度はなんだろう?


「なに?」


声が届くかはわからなかったから、あたしは手を耳に当ててジェスチャーを加えた。

口をなるべく大きく開けて「どうしたの?」と口パクも加える。


星野くんは辺りをキョロキョロと見渡して、動きがとても怪しい。

忙しない動きをしてる星野くんの頬はかなり赤い。

車内の暖房かなり効いていたから、きっと火照っているんだと思う。

そう思ってあたしは自分の頬に手を当ててみると、あたしもやっぱり熱い。

外の空気が火照った頬には心地よく、けれど首から下は寒くてブルル、と小さく震えた。


その時だった。


“ウキタ!”


星野くんは口パクで再びあたしを呼んでる。


“ナニ?”


あたしも口パクで返事する。

だけど星野くんは同じように名前を連呼するだけ。


“ウ・キ・タ・!”


……なにが言いたいの?

さすがのあたしも眉間にシワが寄る。


からかわれているのだろうか。


“ナ・ニ・?”


星野くんのよくわからない遊びに付き合ってあげよう。

そう思ってあたしも目一杯口を動かして返事を戻す。

すると、星野くんは首を振った。


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