好きだと思うんですがっ!?
「ってのは冗談だけど、本当にごめんね」
「いやいや、謝らないでよ。とりあえず長期戦でいくつもりだし」
えー……。そんな爽やかな笑顔振りかざしながらそう言われましても……。
「あのさ、あたし……」
好きな人が、いるんだ。
ーーそう言おうとしたけど、古柳くんってばあたしが言葉を言う前に止めた。
「浮田さんって、星野と付き合ってないよね?」
心臓が一瞬止まったかと思った。
人からそんな風に言われると、なんかびっくりしてしまう。
クラスメイトだし、付き合ってる訳じゃないし。
だからこそ自分の気持ちを他の人に知られるのはなんか、ヤダ。
「付き合って、ないよ」
そう答えるのが、今のあたしの精一杯だ。
そんなあたしの内情なんて知る由もない古柳くんは、にーっこりと微笑んで握りっぱなしのあたしの手を引いて歩き出した。
「なんだ。一瞬付き合ってるのかと思った。こないだもアイツ、会話の途中で浮田さん奪ってったし」
「あっ、ごめんね! あたしもあのまま帰っちゃって!」
「いいよ。その代わり、今度は俺と肉まん食べながら帰ろうね」
ね。って言いながら小首を傾げる古柳くんに、あたしはなんて返事をしたらいいのか分からなかった。