好きだと思うんですがっ!?
「なにすんのよ。人が両手塞がってるのをいい事に」
「両手は塞がってないだろ」
「塞がってるじゃん」
ほら、とコーンポタージュを両手で持った手を、これでもかってくらい差し出した。
そしたらまた、星野くんはケラケラと笑ってる。
「片手外せばいいだろ。馬鹿だなー、浮田 真依子は」
「だって外したら寒いじゃん」
「やっぱ、馬鹿だなー」
さっきよりも大きく笑う星野くん。
コーラを飲み干して、それをゴミ箱に投げ捨ててる間もまだ笑ってる。
「じゃあ今なら何されても抵抗できないな」
なんて言いながら、近づいてくる星野くんからとても嫌な感じがして、あたしは慌てて身を引いた。
けど、リーチの差なのか何なのか。
あっさりあたしは星野くんに捕まった。
「うりゃ!」
信じられない……。
星野くんは冷え切った両手を、あたしの両頬に押し当ててる。
「ひー! 寒いじゃん! やめてよ! 寒くて心臓止まっちゃうってばっ‼︎」
「ははっ、浮田の頬はあったけぇーな。俺、めっちゃいいカイロ見つけたかも」
「アホー!」
無邪気に笑う星野くんはちょっと可愛いかも、とか一瞬でも思ってたあたしが馬鹿だった。
前言撤回。
星野くんはただのアホだ。