好きだと思うんですがっ!?
「言っとくけど、あたしに触れるのは高いんだからね」
星野くんをギラリと睨みつけると、彼の両方の手がゆっくりあたしから離れてく。
さっきまで冷たかった星野くんの手。いまはあたしの熱を帯びてポカポカだ。
「へー。じゃあ、いくら?」
「金額ではちょっと表せないなぁ」
「ははっ、なら支払いも出来ねぇじゃん」
「まずは誠意というものを見せてもらいたいね」
「どーいう事?」
「言い値からいってみようか」
言い値かよ、って言いながら星野くんはまた笑ってる。
でもそうやって笑ってるけど、言い値で星野くんがあたしの価値をどの程度だと思ってるかが分かるんだからね。
「じゃあさ……」
言葉を少し溜めてから、星野くんはあたしと視線を合わせないようにして、言った。
「映画奢るってのは?」
首の後ろを掻きながら、口の端をムズムズと動かしつつ、詰まるようにそう言った。