好きだと思うんですがっ!?
はー、なんてため息を盛大についた後、星野くんは首の後ろをポリポリと掻いた。
「……浮田に彼氏ができない訳、分かった気がする」
出ました。失礼発言。
「星野くんは失礼なヤツだ」
「浮田 真依子は金のかかるヤツだ」
嫌味を言ったら、逆に言い返されてしまった。
でもさ、そんなヤツを君は好きなんだよね?
彼女でもない、ただのクラスメイトに映画を奢るなんて普通しないよね?
しかも大した理由もないのに。
星野くんの性格からして、そんなタイプじゃないと思う。
やっぱり……あたしだから奢ってくれるんでしょ?
「ジョークじゃん? いいよ、映画ゴチで十分!」
そう言ったら、星野くんは名前の通り顔中に星を散りばめたみたいににっこり笑った。
「浮田って何系の映画が好き?」
「うーん、アクションとホラー以外かなぁ?」
「マジか。俺と真逆じゃん」
「そーなんだ?」
やっぱり男子はそーいうのが好きなんだ?
「別になんでもいいよ」
だっておごりだし。
「あっ、でもホラーだけはダメだから」
「なんだよ。怖いのかよ」
「怖いよ。夜お風呂入れなくなるじゃん」
素直に言ったのに、星野くんはケラケラ笑い始めた。
「トイレ行けなくなる、の間違いだろ?」
「トイレはいける。リビングも近いから家族もいるし。それにトイレなら一瞬じゃん? でもお風呂はどんなに頑張っても数十分はかかるでしょ? 頭洗ってる時とか天井が気になって仕方ないんだよね」
「ははっ、そんなの初めて聞いたわ」
そんなに笑わなくても良くない?
あたしはちょっとふてくされながらコーンポタージュをひと口飲んだ。