好きだと思うんですがっ!?

ねぇ、それ。間接キスだよ。

気づいてる? いや、気づいてるよね?


だって一瞬躊躇ったでしょ?

飲む? って聞いたのはあたしの方だけど、これって間接キスになるんだよ。


……あたしも何気なく聞いちゃったけど。


「ねぇ星野くんってさ、小学生の頃好きな子いじめるタイプだった?」

「はぁー?」


おっと、今日一番盛大な“はぁー?” をいただきました。


「なんの話だよ」

「小学校時代の話だよ」

「それは分かってんだよ。急になんでそんな話ななったんだって聞いてんだろ」

「急に気になったから?」


だって、その答えによっては星野くんの癖が分かると思って。

君があまのじゃくなのかどうなのか。


「浮田って時々、ほんと掴めねーよな」

「なにそれ。それならミステリアスって言ってよ」

「言わねーよ。いい感じに言ってんじゃねーよ」


星野くんは笑いながらあたしの額にデコピンを食らわせた。


「いったぁ!」


全然痛くないデコピン。でも大げさに痛がってみせる。


そしたら星野くんは酷いヤツだから、そんなあたしの様子を見てケラケラ笑ってる。

痛がってるあたしを見て笑ってる。

……もちろん、本当は痛くないけど。


「責任取ればいいんだろ?」

「だからどうやってーー」


また意味の分からない結婚話になるのかと思いきや、


「週末、空けとけよ。責任は映画で払うから」


あたしの返事なんて何も聞かず、彼は去ってしまった。


……映画はお詫びだって話じゃなかったっけ?

それに、週末……?

休みの日に出かけるなんて話は一言も言ってなかったじゃん。


勝手に予定決めちゃうんだ……。


星野くんは勝手なヤツだ。



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