好きだと思うんですがっ!?
「星野くんって、男に二言とかあるタイプなんだ?」
嫌味っぽく言ってやると、いつもの緩いデコピンが飛んできた。
「ったぁ! なにすんの!」
「強いて言うなら、そこに浮田 真依子のデコがあったから?」
子犬のようにコテンと首を傾げてるけど、その表情は獲物でも見つけて楽しんでる狼の様だ。
「こっの……!」
星野くんに報復しようとしたら、またもや身軽に交わされてしまった。
「ははっ、浮田 真依子は動きがトロいな。さっきチャーシューまんとか食べるからじゃね?」
「なにそれ! あの一瞬で太ったとか言いたいわけ⁉︎」
「まさか。元々だろ?」
「星野 奏太〜‼︎」
許すまじ! マジで許すまじ‼︎
ホームに人がいない事をいいことに、あたし達は子供のように駆け回る。
その時、ホーム内に響き渡る放送。
電車が駅にやって来るという内容だ。
「ほら、浮田。電車来るぞ」
「知ってる。知ってるから、星野くんはとりあえず一回あたしにデコを差し出しなさい」
そう言ってもまだ逃げ惑う星野くん。