好きだと思うんですがっ!?
「怒られちゃったじゃん」
なんて言いながら、隙あり! とばかりに星野くんの額にデコピンを食らわせた。
星野くんはそれを避けようともせず、ただされるがままだ。
あたしの指が彼の額を弾く瞬間だけ、星野くんはキュッと目を瞑ったけど、それだけ。
痛いとも言わず、ただ静かにあたしのデコピンを受け入れた。
……なによ、つまんないな。
そんな風に思いつつあたしは彼から視線を逸らした。
「電車、行っちゃった」
電車はノンストップで駆け抜け、見えなくなっていた。
「この駅は快速止まらないからな。ほら、もーすぐ次の電車が来るぞ。浮田が乗るやつ」
そう言って星野くんは左腕に付けている時計に視線を落とした。
すると、再びホームに響き渡るアナウンス。
次の電車がもうすぐ到着するらしい。
軽快な曲が流れ始めて、星野くんは向かい来る電車に視線を投げた。