【超短編】それでも私達は


「まぁまぁ、緊張しても声が硬くなるだけだしさ、リラックスリラックス~!

後輩の一人や二人、私が支えてやるから、大船に乗った気持ちでいなよ」



「で、でも、人数少ないし、足手まといじゃ…」


「そんなわけないじゃない!


…って言いたいところだけど、合唱はみんなで合わせるものだからね、ずれたら台無し。



でもさ、それはずれた時の話じゃん?


妃奈月ちゃんはちょっとやそっとの緊張で失敗するような練習してきたの?違うでしょ?


パートリーダーの私が言うんだから間違いない!てわけで、肩の力は抜いて。


いつも通りに歌えば大丈夫だよ。

ほら、表情も上げないと。すぐ本番だからね」


その言葉で、すっと体から力が抜けた気がした。

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