【超短編】それでも私達は

舞台の上は照明がまぶしくて、希望の光のようだった。


いつもはプレッシャーになる真っ暗な客席の中でぽつんとオレンジ色に照らされている審査員席も、もう怖くはない。




演奏が終わってからの拍手は、みんなが私たちの演奏を称賛してくれたみたいで、少しこそばゆいけど誇らしかった。


舞台を出てからは、いったん会場の外へ行く。


先輩方は何事もなかったかのようにそれぞれで楽しそうに話し始めた。


その中で、私の緊張を解いてくれた先輩が、ほかの先輩のところへ行く途中、こそっと「今までで一番良かったよ。やればできるじゃん」と言ってくれた。


きっとその時の私の顔はとても他人に見せられたものじゃなかっただろう。

うれしすぎて、泣きそうな、笑いそうな、そんな感じ。


それでもやっぱり、やってくるのは笑顔で。


写真撮影は満面の笑顔でとることができたと思う。

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