アラビアンナイト
思ったより小さくておまけに掠れた声しか出なかったせいか、目の前のジェイク君の言葉にかき消された。
『ソウタ、俺に学校の中を案内してくれ』
……あ、あれ?
もしかしなくても、私じゃなくて伊藤君に話しかけにきたんだ!!??
だよね。
いきなり私に話しかける理由がないよね。
なにを期待してたんだろ…。
そう思うと無性に悲しくなったけど、どうして悲しくなったのかピンとこなかったから、この時は深く考えなかった。