アラビアンナイト


まさか話しかけられると思ってなかった私は、あっけにとられたまま、ただ、口をポカンと開けてジェイク君の顔を見上げていた。

「……」


無言の私を見つめるジェイク君がフッと微笑を浮かべた。

その微笑みが、やっぱりあの少年と重なって、やっと固まっていた思考回路が動き出した。

『えっと…、私は友達とお弁当を食べる予定』

なんとか英語でそう答えると、ジェイク君が軽く目を見張った。

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