アラビアンナイト


「行くよ!」

私はそのまま佐々木さんの背中を押してバスを降りた。

降り際に、忍ちゃんと奏太に後のことをお任せして。

ジェイクとは、Tシャツを受け取る瞬間に目が合っただけで会話はしなかった。

でも、目が合ったほんの一瞬に小さく微笑んでくれた。

だから、私の行動はジェイク的にオッケーだったと勝手に解釈した。


バスの1番前の席には小笠原先生がいて、私と佐々木さんと一緒に降りてくれた。

「よし、あとは養護教諭の先生に任せてくるから、高藤は自分の荷物の整理をしに戻っていいぞ」

建物の中に入ると、すぐに先生から言われた。

私は佐々木さんを小笠原先生に任せて、1人で人気のないトイレに向かった。


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