アラビアンナイト


「ありす、落ち着いて考えてみて?
まだ高校生になって1ヶ月ちょっとなんだから、問題集の中身は中学の復習がほとんどだよ。
焦らずに取り組めば、ちゃんと終わるから」

食堂の時と同じ並びで座ってるから、今も左隣に奏太がいるんだけど、ものすごーく穏やかな笑顔で言われた。

「奏太ぁ…。うん…。とりあえず、好きな教科からがんばってみる」

奏太の励ましにちょっと泣きそうになってそう言うと、奏太の手が私の頭をよしよし、って感じで撫でてくれた。

それにホッとして、なんとか気持ちを切り替えようと思ったけど、さすがに気分が上がるほどにはならなくて。

憂鬱な気持ちのまま、英語の問題集を開いた。

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