アラビアンナイト
「ジェイク、お待たせ〜!」
語尾にハートがついてそうな声で斧田さんがフォークを手に戻ってきた。
「アリガトウ」
ジェイクが斧田さんからフォークを受け取ってそうな気配がして、やっと私の金縛りもどきが解けた。
そこからは猛スピードでご飯を食べた。
「ありす、ちゃんと噛まないと」
忍ちゃんに注意されたけど、今だけは聞こえないフリをした。
「ごちそうさま!」
最後のひと口を飲み込むと同時にそう言って、すぐに席を立った。
「忍ちゃん、私、先に勉強部屋に行ってるね!」
それだけ言って足早に食器を返却すると、食堂を後にした。