アラビアンナイト
「それって、高藤さんが、そういう気持ちをジェイク君に対して感じた事があるってこと?」
「へっ!?」
思わぬ質問に素っ頓狂な声が出た。
「い、いやいやいや…!!
そんなことない!・・・こともないけどっ!
私のことはいいんだよ!」
大慌てでショッピングモールでのことを頭の中から振り払いながら答えた。
そんな私を佐々木さんが、何かを考えるように見つめていたなんて全然知らなかったけど。
ようやくお風呂に入る準備が済んだ私たちは、扉に向かって移動。
私が扉の取っ手に手をかけた瞬間だった。
「あのっ!ジェイクくんのTシャツ、そろそろ乾いてると思うの。
それで、もし高藤さんさえよければ、後で一緒に返しに行ってもらえないかな?
私が1人で行けば、Tシャツをきれいにしたのが私だって思われちゃっても申し訳ないし…」
「えー!いいよ、いいよ、そんなの気にしなくて。
それに私と一緒にいたら斧田さんに何か言われるじゃないの?」
だから、斧田さんがいる浴室に入る前に声かけたんだろうし…。