アラビアンナイト
「私の事は気にしなくていいから。
もしジェイクのとこに行くなら、あのTシャツ遠慮なく持っていっちゃって」
これ以上、佐々木さんに気をつかわせたくなくて、わざと軽い感じで言ってみた。
でも、正直、今は私の方がジェイクに合わせる顔がなかったりする。
それこそ、ジェイクの前でどんな顔をしていればいいのかわからない。
会わずに済むならそのほうが助かる、っていうのが本音だったりする。
なのに、世の中そんなに甘くはないらしい。
「ううん。できたら高藤さんについてきて欲しいの!
あんなことがあった後だし、私1人じゃ顔合わせ辛くて…。
その、高藤さんがいれば、ジェイク君も嬉しいと思うから」
私のはかない希望をあっさり打ち砕くお返事が佐々木さんから返ってきた…。