アラビアンナイト


どうやら私は、そのあともお湯に浸かって1人でひたすらぐるぐる考えていたらしい。

忍ちゃんに

「早く上がらないと、次のグループが来たわよ」

って言われるまで、ずっとお湯に潜るような感じでどっぷり浸かったまま。
で、せっかくの露天風呂に行けずじまい。

忍ちゃんに言われて大急ぎでお湯から上がって服を着た。

「あら、それ、この間の…」

忍ちゃんが私が着た服に気づいて少し目を細めて笑った。

でも、斧田さんが近くにいたからか、”ジェイクに買ってもらった服” っていうことは、お互い口に出さなかった。

それでも、忍ちゃんが意味深に微笑むものだから、お風呂上がりの火照った体が、さらに熱くなった気がした。

< 443 / 713 >

この作品をシェア

pagetop