アラビアンナイト

言葉を濁す奏太。

なんて言っているのかが気になって、俯き加減になってしまった奏太の顔を覗き込むと、片手で口元を押さえたまま視線を彷徨わせている。

心なしか顔が赤いような…？

と思っていたら、突然私の後ろから腕が伸びてきて、そのまま肩に回された。
それは一瞬の出来事で、それこそ心臓が飛び出るんじゃないかと思うくらいびっくりした。

なにって、

「きゃぁ！」

っていう乙女な声が私の口から出るくらいの驚きだったんだから！

見ると女子とはあきらかに違う逞しい腕が、私の右肩から首あたりにかけて絡みついている。

そーっと左側に顔を回して後ろを確認しようとすると、絡みついている腕にぐっと力がこめられて

「こっちにキテ」

というジェイクの声が左斜め上から降ってきた。