アラビアンナイト



「ごめん…キス…とめられなかった」

頭上と密着した体の両方からステレオ効果で聞こえてきた声は、紛れもなくジェイクの声なんだけど。

あんまりにもシュンとした声と、未だに聞こえてくる彼の少し早い鼓動がとても愛しくて。

「ふふっ!」

思わず笑ってしまった。

「……ありす、わらってる?」

躊躇いがちに質問されたので、そのままの体勢でそっとうなづいた。


< 523 / 713 >

この作品をシェア

pagetop