アラビアンナイト


「きっとグラウンドのどこかで忍ちゃんが待ってくれてるだろうから…。
私戻るね。また後で」

忍ちゃんの性格からしたら、私がジェイクといるのを知っているんだし、待っているとしたらグラウンドではなく勉強部屋だろうけど。

でも、呼び出された場所に行くのにジェイクが一緒というのは何よりもマズイだろうから、とっさに嘘をついてジェイクからじりじりと離れた。

「ありす…」

もう一度何かを言いかけたジェイクには悪いと思ったけれど、この暗さに乗じて一気に目的の場所まで行きたかった私は、そのまま身を翻して一目散に走った。

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