アラビアンナイト


しばらくすると、セリム君が誰かに連れられて、私が隠れている非常階段の下までやって来た。

「どうしても教えて欲しいことがあると伺ったので参りましたが、どうやら勉強のことではないようですね」

場の雰囲気に何かを察したセリム君に対して女子Aさんが最初に口を開いた。

「私の父が、中東と取り引きのある仕事をしているの。その父が言うには、ジェイク君はサウード王の息子だって。それって本当のことなの?」

ということは… 女子Aさんは斧田さんが私にその詳しい内容を教えてくれた例の告白の現場にいた人。
あのがんばって告白した子に付き添っていた1人なんだね。

ジェイクがサウード王の息子だってことは、ジェイク自身が認めたはずだけど。
いまはそれをなかったことにして、セリム君に確認することにしたのか…。

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