アラビアンナイト


健太は何も話さず、ただじっと私の横に座っていた。

それが、「泣きたいなら泣け」っていう無言のメッセージみたいに感じて。
1人じゃない安心感もあって、私は無理に泣き止まずに涙が流れるままにしておいた。

それでも、ようやく涙も止まって、息も苦しくないくらいに整ってきた頃に

「ありす!!」

という忍ちゃんの声が聞こえてきた。

声のする方に顔を向けると、私の方へ走ってくる忍ちゃんを見つけた。

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