アラビアンナイト
「わかった…。ありがとね、奏太」
小さくお礼だけ言って前を向いた私だったけど、山登りを再開した私が考えたのは、やっぱりジェイクのことだった。
はぁ〜、もしかしてジェイクがいなかったら、さっきみたいなやりとりで私は奏太に胸がキュンとしたりしてたんだろうか、とか。
そういえば、私って今まで男子に胸がキュンとしたことってあるっけ?とか。
いや、もちろん、逆に自分が男子の胸をときめかせるような可愛い女子じゃないのはわかってるんだけど!!
だから、お前何様だ?とかは言わないで!
なんてことを悶々と考えながら山の頂上にたどり着いた私。
他のみんなが
「やったー!頂上だ!!」
なんて言って喜んでいるにもかかわらず、私の心の中の自問自答は
”私って今まで誰かを好きになったことがない→だから今、恋をしているとしたら、それは初恋ってことだったよね→ってことはジェイクが私の初恋の相手!!”
ってところで止まってしまって…。
「うぎゃ〜〜〜!」
っていう叫びになった。