アラビアンナイト
「…どこが、なんてわからないよ。
でも好きっていう気持ちは私の中ではハッキリしてるよ?」
なんて。
口では偉そうに言ってみたものの、その気持ちを自覚したのは昨日だってことは言いにくかったので敢えて言わなかったけどね。
でも、その辺りを追及されたらどうしよう!?なんてちょっとドキドキしながら奏太からの言葉を待った。
「それはさ、例えばジェイクの外見が女の子だけじゃなく男でも思わず見入ってしまうような容姿をしているんだし…見た目が好きってことじゃないの?」
「なっ!?」
奏太の口から出たとは思えないようなセリフに、私はとっさに返す言葉が出てこなかった。
私が何も言えないのを見て、奏太はさらに続けた。
「もしかして、とは思うんだけど。
ありすはジェイクに好きって言われてその気になってるだけじゃないよね?」
唖然として返事をしない私に、奏太は質問を変えてさらに聞いてきた。
「ありすは、ジェイクが本物の王子だって知ってるよね?
もし、ジェイクが帰国するときに”一緒に来てくれ”って言ったら、家族や友達と離れて生きていく覚悟はあるの?
もしないんだとしたら、それは恋っていうより、恋に恋してるだけだと思うよ」
淡々と。
でも視線は一度も外されることなく続く言葉と質問に、私は必死で考えた。