アラビアンナイト


一気にそこまで言った忍ちゃんは、

「ふぅ〜」

と大きく一息ついてからにっこり笑った。

「要はね、誰がなんと言おうとありすの気持ちはありすのものなの。
ありす以外の人が”その気持ちはこういうものだ”って決めるものじゃないの。
もうひとつ言うなら、ありすだって今の自分の気持ちに名前をつける必要なんてないと思わない?」

「えっ?そうなの!?」

何にびっくりしたか自分でもよくわからないけど、私が考えてみたこともないことを忍ちゃんが言ったことは確か。


「だってそうでしょ?
ありすってば毎日”あぁ、私は今嬉しい気持ちなんだな”とか、
”これは悲しい気持ちなんだな”とか…
自分の心の状態を分析して感情1つ1つにちゃんと名前つけてる?」

そう言われて思いっきり首を横にぶんぶん振った。

そんなことしたことないよ!!
ってか、してる人いるの!?

「だよね」

忍ちゃんが私の心を読んだかのように返事して可笑しそうにクスクス笑った。
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