アラビアンナイト
「だったら、恋心だってこれはこうだからホンモノの恋だ、なんて決める必要なくない?」
「た、確かに…」
なんて説得力のあるお言葉。
「でしょ?例えば”あぁ、私、今幸せ”なんて感じる瞬間が自然にあるみたいに、
”あぁ、私、彼のことが大好き”って自然に思える程度のものでいいんじゃない?」
「そうなの?そんな感じでいいの?」
「いいもなにも、私はそれで十分だと思うけど?
まぁ、もちろん、考え方は人それぞれだから、私はそう思ってるってだけ」
そっか。
奏太に言われたみたいに数学のごとくいろんな式があって答えが1つある、みたいなものでもないのか。
「ホンモノの恋じゃない場合と同じ状態だから答えもホンモノの恋じゃないっていう風に奏太に言われたけど…。
そうじゃなくて、答えは十人十色、みたいな?
奏太に言われたことは気にしなくていいってこと?」
「そうそう!!ありすにしたら飲み込みが早いじゃない!?」
「忍ちゃん、ヒドイ…」
「あはは、ごめんね?」
うん、相変わらず全然ごめんと思ってなさそうだけどね?