アラビアンナイト
『まぁ、腹心の部下であるお前ですら、俺のありすへの気持ちを読みきれていないんだ。
ありすが俺のことを疑ったとしても全く不思議じゃない。
むしろ、今の状況で俺を信用しろって言う方に無理がある』
淡々と思っていたことを口にすると、セリムは心底悔しそうな顔をした。
『お力になれないばかりか、足を引っ張るようなことになってしまい、本当に申し訳ありませんでした。
…ただ、ジェイク様。そろそろ教えてはいただけませんか?
なぜジェイク様がそこまでアリスさんにこだわるのかを…』
そう言ったセリムの顔は少し自信なさげで、こいつのこんな顔を見るのは初めてだな、と思いながら俺はゆっくりと口を開いた。