君に話をしよう
誰かを待ってるといったら大げさかもしれない。


それでも何故かいつも、いざ「付き合いましょう」となると『ああ、この人じゃない』と一歩ひいてしまう自分がいた。


決して相手に恵まれなかったわけではない。


でも、どんなに良い人でも恋人になることはなかった。


とりあえず付き合ってみる、ということもしなかった。


頑なな自分に嫌気がさすことも多々あった。


心と体に鉛のように重い鍵が存在すると言っても過言ではないほど、得体の知れないストップがかかっているのを感じていた。


まるで、誰とも恋をしてはダメだと体にすりこまれているような―――…


じゃあ、誰ならいいのだろう。


愛海はサークルのメンバーで開催するバーベキューの日取りを聞くと、会話もそこそこに大学をあとにした。


開放感もあってか空気がおいしく感じたのに、心の鍵はそう簡単になくなってくれそうにない。
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