辛口ちゃん と 言葉足らずくん
ドンッ
少女は石がごろつく地に手と膝をつく。
「あっ」
ガラガラ、ガチャン。
手を伸ばすも戸は簡単に閉ざされた。勿論、鍵までしっかりと。
宙に浮いたままだった手は力なく膝の上に落ちる。
「う、ひっく」
止まらない涙、しゃくりあげる呼吸。
息は詰まり目は腫れ、擦りむいた手には痛みが走る。
おまけに寒さも容赦なく襲い掛かってくる。
(ぜんぶ、ぜんぶ、なくなっちゃえ。いっそわたしも…)
そんな、絶望の淵に立たされた少女に差し伸べられたのは…
「うるさいんだけど」
小さくて、暖かい手でした。