部屋に出るもの
「……というわけで、なつみが泊まりにきて、確かめてくれないかなあ、って思って」
しおりはそう言って、はにかんだ笑顔を浮かべた。
しおりとあたしは高校以来の親友だ。もちろん、ふたつ返事でオーケーした。
*
土曜日の夕方、あたしはしおりのアパートを訪ねた。
しおりの手料理をごちそうになり、夜はあたしが持参したワインをあけ、昔話でもりあがった。
夜は布団をならべて寝た。
小さな電球をひとつだけともすと、部屋は頼りないオレンジ色の光に包まれた。
あたしは寝つきのいいほうで、すぐに眠ってしまった。
夜中の何時ごろだろうか。
ふと目がさめた。