祈り
『かんぱ~い』

みんなは優勝の喜びでいっぱいだった。

「酒ねぇと盛り上がんねぇよ…」

新が横でずっと文句を言っていた。

「田宮くん。」

メニューから顔を上げると目の前に美香がいて驚いた。

「えっなに?」

焦って声が裏返った。

〈だせー〉

ひとり落ち込んでいると隣で新が笑っていた。

「あのね、今日はお疲れ様。」

「あぁ。」

「優勝出来て嬉しかった。」

「俺も。」

笑顔で答えた。

「去年、田宮くん体育祭出てなかったでしょ?」

「あぁ、なんで知ってんの?」

「屋上に居たの見えた。」

柔らかい笑顔をみせなが美香が言った。

「まじで!!」

「まじで。田宮くん煙草吸ってたでしょ。丸見えだったよ。」

呆れたように笑いながら言われた。

「まじかよ…あそこグラウンドから見えんの?」

新が会話に入ってきた。

「うん。丸見え。」

「謹慎くらうとこだったよ。」

新が苦笑いしていた。


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