祈り
「おい!」

俺はキレ気味に言った。

「なに?」

美香も俺に負けないぐらいキレた口調で返事をしてきた。

「お前なに?って意味不明。なに勝手に帰ってんの?」

「は?誰と帰ろうとわたしの自由じゃん!!」

本気でむかついた。

「いつも一緒に帰ってんじゃん。ひとりで帰りたいときは言ってからにしろよ。」

怒鳴るような低い声で言った。

「別に一緒に帰る約束なんかしてないし。」

確かに約束はしていなかった。

「約束してなかっても今まで一緒にかえってたんだから普通言うだろ?」

そう言うと美香は俺の言葉を無視して歩き出した。

「待てって言ってんだろが!!」

廊下中に響きわたるような声で怒鳴った。

そして、美香を追いかけまた腕を掴んだ。

「痛い。離して。」

「嫌だ。」

「こっちが嫌だ。」

「我が儘。かっこわるいよ?」

「は?」

「准もっと大人になれば?」

「は?お前なに言ってんの?」

「だから、大人になれって言ってんの。あんた子供みたい。疲れる。」
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