秘め恋*story10~兄の部屋で…~
その日の夜、普通に1時間くらい勉強を教えてもらって
自分の部屋へ戻ってから早速コウタくんとLINEしていても、何となくもやっとした感じがする。
誰のせいでこんな気持ちになってるかっていうのも、問題なんだよ。
『俺、莉子ちゃん好きになっちゃうかも…』
コウタくんとのLINEのトーク画面は、ここで止まっていた。
その画面を見つめながら、何て返していいのか全然思いつかなくて…
「あーもーっ。」
スマホをポケットに突っ込むと、私は自分の部屋を出た。
向かったのは、元々は兄の部屋である居候のところ。
―――――――コンコン。。
「はい?」
「私っ。ちょっと…いい?」
「…おう。」
ドアを開けると、橘周平は机に向かって座っていた。
「どうした?勉強でもしてたか?」
「べ、勉強なんてしてないし!」
「威張るなよ。」
そ、そうだよね。威張って言うことじゃないよね。
何となく居心地悪く、突っ立っていた私に橘周平は「まぁ座れよ。」と勧めてきた。
とりあえず、何となくベットに腰かけた。
「どうかしたか?」
「あ、うん…まぁ。」
何が聞きたいとか明確に分からないまま、部屋まで来ちゃったよ。どうしよ。
「周平はさ、」
「呼び捨てかい。」
「だって。」
「いや、別にいいけどな。ん、で?」
「外国でボランティアしてたって本当?」
この前初めて聞いたこの話を何となく知りたかったから、つい口にしてしまった。
橘周平は、意外とあっさりボランティアをしていた頃の話をしてくれた。
子供達が勉強をして、色々なことを知り得ていくところを見ているのがすごく嬉しくて楽しかったんだって。
何かちょっと見直したかも。
というか、だから勉強教えるの上手いんだ。
「でも何でボランティアやめて帰ってきたの?」
「ん~、まぁそろそろ日本で給料貰いながら働こうかと思ってな。親もそろそろ結婚だのなんだのうるさいし。」
そっか。
大変だな、大人って。
「ま、結婚つっても1日や2日で出来るもんでもねーんだけどな。」
「結婚したいの?」
「まぁ、そりゃあな。子供も欲しいし。」
照れ臭そうに鼻をかく橘周平をみて、ちょっと可愛くみえたのは気のせい?
と、そんな風に思っちゃった時…
――――――ピロン。。
ポケットのスマホがLINEがきた事を知らせた。
チラッと見ると、それはコウタくんからで…
『ごめん、今日会ったばっかりなのにへんな事言って。
でも、冗談じゃないよ。莉子ちゃんが嫌じゃなかったら
付き合わない?』