秘め恋*story10~兄の部屋で…~
「今日のアイツか?」
「え?」
「いや、何となく。」
ほら、また。
何でそんな事聞くの?
気になるとか言ってたけど…
「周平、何か変。」
「・・・」
何にも言わない周平をじっと見ていると、またスマホのから通知音。
コウタくん…
『続けてごめん、好きな人いたらさっきの無視して。』
無視なんてできないよ。
それだけでも返しておこうとそう思って文字を打とうとした時…
―――――――――……
気づくと、私のスマホは周平の手の中にあった。
周平はスマホの画面を見つめていた。
その画面は、コウタくんとのさっきまでのやりとりが…
「ちょっと、何すんの!?返してっ。」
ベットから立ち上がって手を伸ばすけど、背の高い周平がわざと取れないようにするからスマホまで届かない。
何でこんなことするの?
意味わかんないっ。
「ちょっ…返してってばっ。」
「やだね。」
「はぁ!?意味わかんない!」
「意味分かれよ、莉子。」
え、今莉子って呼んだ?
一瞬固まった隙をついて、周平はスマホをベットに放って
私の両手首を掴まえた。
もがくけど、大人の男の人の力には敵わなくて。
下から睨むと、周平は一旦私から目を逸らして天井を見上げた。
「離してよっ。」
「無理。離したら、お前アイツに返事するだろ。」
「するってば。」
「ダメだ。」
「だから、何でっ!?関係ないじゃん。」
「ある。チビ子は誰とも付き合うな。」
「はぁ?
なんで周平にそんなこと言われなきゃいけないのよ。」
「俺が嫌だからに決まってんだろ?
誰のものにもしたくねーから、言ってんの。」
え?
「好きなんだよ、ばか。分かれ。」
そこまで言われて分かんないバカじゃないよ。
私はビックリして、と同時に一気に恥ずかしくなって周平の顔が見れなくなった。
いやいやいや、待って待って。
だって、ほらあのムカつくことしか言わなくて、私の事いじめて面白がってた周平だよ?
私の事、そんな風に見てるなんて…
「じょ…」
「冗談じゃないからな。」
でも、え、だって…
そう、あのお風呂事件の後だって…
「だって、あの大雨の日の…そのお風呂で…だって、その後全然…態度が普通だったじゃん。
すごい恥ずかしかったのにっ。私が子供っぽいから、何とも思わなかったんでしょっ。」
「何とも思わないわけないだろ。」
「でも…」
―――――――……ドサッ