秘め恋*story10~兄の部屋で…~
何で、うちに??
「莉子、さっき噂してた“残念なイケメン”。」
隣に立つ兄がとりあえず私に紹介した。
「うん。分かってる。」
めんどくさそうに返事をした私に、 兄はとんでもない発言をした。
「こいつ、今日からウチに居候すっから。」
「・・・」
は?
開いた口が塞がりませんけど…
ぽかんとする私に、当の本人は…
「よろしくなー、チビ子。」
爽やかな笑顔。
それが兄の普通の友達なら、きっと私はきゅんとときめいてただろう。
だか、この男は例外。
「はぁーーーー!??」
叫ぶのも仕方ない。
「まぁまぁ、ちょっととりあえず落ち着いて聞け?話すから。…っとその前に、コーヒーでいいか?」
「おお。悪いな。」
コーヒーを淹れにキッチンへ入っていった兄、
そして遠慮なくソファに…それも私の横にドカッと腰を下ろす残念なイケメン。
ちょ…何で、隣に来るのよっ。
ズズッと距離を置くように移動する。
「久しぶりだな、チビ子。」
「チビ子って呼ぶなっ。もうチビじゃないし!
」
「何だよー、変わんねーよ。
俺にしちゃ、まだまだチビ子だよ。」
とか言って、頭をなでなでしてくる。
「ちょ、気安く触んないでってば。子供扱いしないでっ。私もう高校生なんだからねっ!」
「ははは!
チビ子、昔から言うこと一緒だな!」
くぅ……ムカつくっ!
そうだよ。こいつ昔っからこうだった!
学校帰りに遊びに来ても、小学生の私を何かといじめて遊ぶイヤな奴だった!
「おうおう、相変わらず仲いいなお前ら。」
「仲良くない!!!」
コーヒーを持ってやってきた兄に本気で言い返すけど、たいして相手にされず。
てか!
そんなことより!
「それで!どういうことか、説明して!
というか、私は反対だからね!」
問題はさっき言ったことよ!
「ああ、それな。」
「俺、今日アッチから帰ってきたばっかでな、住むとこねーんだわ、こっちで。」
「そ、だからとりあえず俺の部屋空いてるし、住めばいいよってことで…」
「本当に助かったわ~。おばちゃん達も普通に歓迎してくれたし。」
ちょっと、ちょっと。
は?
おばちゃん達も…って、お母さん達も知ってたの??
それも普通に許可しちゃったの?