秘め恋*story10~兄の部屋で…~
「そ、そんなのずるいじゃん!」
「いやいや、バカなお前が悪い。」
「た、たまたま調子が悪かっただけで…」
「試験勉強、してなかったことはお前の大親友のナナちゃんから裏がとれてるぞ。」
「はあ!?なんでお兄ちゃんがナナから裏とってんの!」
「だってナナちゃんとこの前お茶したもん。」
「何してんの!オッサンが女子高生つかまえて!」
信じらんない!てか、浮気って告げ口してやる奥さんに!
「ま、安心しろ。俺が勉強みてやるから。」
「やだ。」
「ったく、チビ子は相変わらず可愛げねぇなぁ。」
「うるさいよ、オジサン。」
精一杯、意地をはってみたところがもう私の反論は意味もなく…
「よし、今日からよろしくなチビ子!」
「チビ子じゃない!」
もうやだ。
私の中の楽しい夏休みを返して。。
こうして兄の友達、橘周平との居候生活が始まった。
―――――――――――
あれから数日が経ち、兄の友達との同居生活もなんとなく慣れてきた頃…最悪な事件が起こった。
久しぶりに親友のナナとカフェでお茶をしていた。
「へぇ~、やっぱり居候することになったんだねぇ。」
「ホントにやだ。早く出てって欲しいし。」
私は抹茶ラテのストローを噛みながら、愚痴る。
「というか、ナナ!
お兄ちゃんに余計なこと言ってくれちゃってさ!」
「えー、だってお兄さまに誘われたら、そりゃ色々喋っちゃうってば。」
「こら、あんたのお兄さまじゃないでしょ。」
「だって、お兄さまカッコいいんだもーん。」
だもーんじゃないよ!
おかげでこっちは折角の夏休みが…
「で、勉強ははかどってる??」
わざとニヤケ顔で聞いてくるとこ、ムカつくー!!
「ま、まぁ?意外と勉強教えるの上手いし?」
「おー、良かったじゃん。」
「でも、アイツじゃなくてもいいし!」
そうなんだよ、勉強教えてもらうのにアイツじゃなくていいんだってば!
というか、真面目に分かりやすく教えてくるのが何かちょっと癪にさわるし。
昨日の問題集の採点してもらった時とか…
「お、この公式苦手だっただろ。」
「ん。」
「ちゃんと出来てんじゃん。全問正解!
やれば出来んじゃねーか、よしよし。」
とか!何か頭なでなでしてくるし…。。
何かムカつくこと言ってこないと、調子狂うっつの。