溺愛されてもわからない!
「『すみれ』で、いい?」
「え?」
「俺は『夢』でいいよ」
「夢……君」
「呼び捨てでいいよ。俺もすみれって呼ぶし」
「夢……あ、無理。ごめん最初は夢君にする」
「俺は呼び捨てにするぞ」
って夢君は私を見下ろし
私のパーカーのフードを手にかけ頭にかぶせた。
「また来いよ」
「ありがとう」
夢君は店の中に入り
私も立ち上がり彼の後ろ姿を目で追う。
『すみれって呼ぶし』って言ってくれた。
すみれって……呼んでくれた。
自分の名前が最高に大好きになった瞬間。
夢君
惚れたかも私。