溺愛されてもわからない!
幸せ気分の私だけど
木曜日になると
一気にテンション下がる。
家の中がバタバタしてる。
明日から
みんなおでかけ
私と一夜のふたりきり。
田中さんに泣きつき
自分の部屋のドアに鍵を付けてもらって
ガチャガチャと様子を確かめていたら
「すみれ」って、ドアの前で幼稚園児の声。
「何?月夜」
行かない?やっぱ行きたくない?
お義姉さんと一緒に留守番する?
そんな期待をさせ
キラキラとすがる目で幼稚園児を見たら
月夜は可愛い顔を真剣にさせ
「お兄ちゃんをたのむ」って私に言ってきた。
「一夜を?」
「お兄ちゃんは優しいけど、強がりでさみしがり屋さんだからシンパイなんだ。俺が留守の間、すみれが面倒みてやってくれ」
「えぇ?それは大丈夫だよ」
それより私の心配してくれ。
「たのんだぞ」
幼稚園児はそう言い残し
自分の部屋へ行ってしまった。
強がりの寂しがり屋さん?
あのエロ王子が?
ないわー。
ないないっ!って思いながら
月夜の真剣な顔が目に焼き付く。