溺愛されてもわからない!
授業が終わってしまった
あとは帰るだけ
金曜の放課後は解放感で輝いてる。
週末の予定とか
あちこちで話が聞こえるけど
私にとっては恐ろしい週末が待っている。
「心配事でもあるの?すみれちゃん。今日は元気ないね」
小動物のような愛美ちゃんが私を心配して声をかけてくれた。
ありがとう愛美ちゃん。
今日から二泊三日
泊まりに来てくれないかなぁ。
でもあの家に招待すると
私が極道さんの家の子ってバレちゃって
真面目な愛美ちゃんは引くだろうな
せっかくできた友達は大切にしたい。
「大丈夫だよありがとう、塾、頑張ってね」
「困ったことがあったら連絡してね」
「うん」
元気に私は返事をして
素早く塾に直行する愛美ちゃんを見送る。
あぁ足が動かない。
家に帰りたくない。
おしりとイスが強力接着剤でくっついてる。
「すみれ。これからカラオケ行くんだけど一緒に行かない?」
すんごい
いい香りがして振り返ったら
やっぱり雫さんだった。
オールでお願いしますって返事したい気分。