溺愛されてもわからない!

「すみれにタメ息は似合わない」

頭がぽっと温かい
夢君の大きな手が私の頭にポンポンしてる。

幸せでジワリ。

だからつい
つい
こんな変な事を言ってしまった。

「夢君。うちに泊まりに来る?」

「え?」

鳩が豆鉄砲くらった顔……国語の授業で習ったことわざを、夢君の顔でリアルに見た私。

夢君は足を止めて私を見下ろす。

「今日から家に誰もいないの。だから泊まりに来る?」
すがった目をする私を見て
夢君はフッと笑い

「すみれって大胆」そう言った。

大胆?ん?

「俺を誘ってる?」

夢君の指が私の頬を触り
そのまま首筋に降りてきて
きりっとした目が私を刺す。

あ!違う違う!
ちがーーーーう!
私のバカ。勘ちがいさせてどーする!!

「違う!ごめんごめん!私の言い方が悪かった!」

私は夢君から10歩下がり
そこから大きな声でしっかり謝った。

「ごめん。忘れてちょうだい。本当にすいません」

後先考えずに行動する自分がうらめしい。
つい夢君にすがってしまった。
もう
恥ずかしくて恥ずかしくて顔真っ赤。


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