溺愛されてもわからない!

「ごめん許して。忘れて。絶対忘れて!」

「すみれ」

「私のバカ。違うのそーゆーのじゃなくて」

「いいから、こっち来いよ」

学校での無表情はどこへやら
夢君はお腹抱えて大爆笑。

そんなに笑わなくたって。

半分逆ギレ状態で
私は頬をふくらませ夢君の隣に戻る。

まだ笑いが止まらないし

もう
知らない。

「あー久し振りにこんなに笑った。本気で笑った」

「ごめんって」
多少ふてくされて言うと

「いや……ありがとう」

「え?」

「こんなに笑ったの、家族がバラバラになって以来だから嬉しかった。俺ってまだこんなに笑えるじゃん……って」

「夢君」

人には人の事情があるんだ。

「えーっと、それで詳しく聞かせて」

「いや、もういいの」
ブンブンと首を横に振って
忘れてもらおうと思ったけど

「詳しく話さないと『転校生のタヌキちゃんは大胆で男を誘ってる』って、みんなに言いふらすぞ」

って言われてしまった。
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