溺愛されてもわからない!
それは困る!
無事に平和に暮らしたい!
楽しそうに私の返事を待つ夢君。
いじわるだなぁ。
「みんな旅行中で、一夜とふたりっきりで二泊三日を過ごさなきゃいけなくて。ちょっと気まずい」
そんな説明を夢君にする私。
はい模範解答。嘘は言ってない。
『一夜がエロくて襲ってきそう。お風呂もベッドも一緒にされそう』って内容は言い忘れただけ。
夢君は「ふーん」って言ってから
「一夜は優しいから大丈夫。変な奴が来ても守ってくれる」って言われてしまった。
いや
ヤツが変な奴ですから。
ヤツに襲われる可能性が大ですから。
「でも気まずい」
「考えすぎじゃない?仲良くなるいい機会だろ。それに、こないだふたりで家にばーちゃん背負って来てくれた時、そんな気まずい感じには見えなかったけど」
手を出されて仲良くなっても困るでしょ。
でも
夢君は一夜の味方か
「もういい。忘れて」
「忘れない」
「夢君」
「行くよ」
「え?」
今度は私が足を止める番。
驚いて夢君の顔を見上げたら
夢君は普通に「行くよ。すみれの家に泊まる」って言ってくれた。