溺愛されてもわからない!

「誰?」

「わかんない」

引きつりながら言う私。
ウソですウソ。知ってます。
背が高くて赤い髪した同級生です。

「すみれー。泊まりにきたぞー」

カメラチェックしようとする一夜の動きが、玄関から聞こえる声で止まってしまった。

声デカっ。

「どーゆーこと?」
振り返った顔が怖いですお義兄様。

「えーっと夢君です」

「確かに、カメラに写ってるのは夢だけど、泊まりに来たって何?」

「えーっとえっと」

あのねー
えーっとね
冷や汗タラタラ。

「すみれー開けろー。一夜も居る?」

チャイムガンガン鳴らしてるし

「あの。ごめんなさい、誘った、私が、あの、一夜に襲われるとか思ったりして……その、あの……勢いで」

「言葉が繋がってない」

「夢君を誘いました」

グタグタになりつつ素直に言っちゃうよ。

すると
「男誘うの10年早い」

一夜は冷たい目を残し
さっさと玄関に歩き出すので
私は慌てて後を追う。


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