溺愛されてもわからない!
「さて!次は何をする?もう2時過ぎたけど」
ふたりの空気を破るように夢君が大きな声を出すので、私もハッと我に返った。
一夜に見惚れてどうする。
私が惚れてるのは夢君だよ。
「2時過ぎた?よし、私が怖い話をいたしましょう」
地元でウケたホラー話をいたしましょう。
男子ふたり
トイレに行けなくなるぞ。
先に行った方がいいよー。
ノリノリの私。
部屋の電灯は隅っこにあるスポットだけを残し、あとは消灯。
雰囲気を出すため私は頭に毛布をかぶり
顔を突き合わせ
静かな声で怖い話をする。
さぁ身震いの用意はいいかいっ?
「そして……振り返ると、その場には誰も居なくて、水たまりだけが残ってました」
キャー!!キャーキャー!!
自分で話してて怖いっ!
さぁどうだい男子達。盛り上がったか……い?
あら?盛り上がってない。
表情が無。
「……で?」「そこから?」
マジで言われてしまった。
あれ?変だなぁ
悲鳴が上がるはずなんだけど。
うーんって唸ってたら
「それより……こんな話があるんだけれど」
一夜が低い声で話出すそれは
トラウマになりそうなぐらい
怖かった。