溺愛されてもわからない!

月夜から借りたモモンガ怪人をしっかり抱き寄せたら、トゲトゲしていて痛い。
痛くてもいい
だって怖い。眠れない。目を閉じるのも怖い。
どうしよう、歌でも歌おうか
何を歌おう
石川さゆりさんだよね。

布団をかぶって演歌を歌ってたら

「すみれちゃん。うるさい」

「黙らないと怒るぞ」

ふたりからのブーイング。

「だってひとり怖いんだもん」
大きな声で訴えたら
いきなり電気が点いた。

寝起きって顔して不機嫌そうなイケメンふたりは

「こっち来いよ」

「うるさくて眠れない」

私に向かってそう言った。

「いいの?襲わない?」

恐る恐るそう聞いてみると

「夢と複数プレイは嫌だ。襲う時はひとりがいい」

「それこっちのセリフだろ。早く来いよ」

ふたりは起き上がって私の布団を撤収し、自分たちの間に入れる。
真ん中で寝るって話?

「眠いんだから早くしろっ!」

「はいっ!」

夢君に怒られ
私は三つ並べた布団の真ん中に滑り込む。



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