溺愛されてもわからない!

なんか……いい感じ。
両方に人がいてぬくもりを感じてしまう。
『襲うぞ』言ってた2人だけど
全然そんな風じゃなくて、逆に私がうるさくて寝れなくて怒ってる風。

これならおばけが出ても守ってくれるだろう。
モモンガ怪人を枕元に置いて
そっと目を閉じる。

耳をすませば聞こえる呼吸音。
やっぱり……安心。寂しくない。
年頃女子が年頃男子に挟まれて眠る。
アブナイ状況だけど安心できる。

私はやっぱり寂しがり屋なんだろうなぁ。
今まで狭い家でお母さんとふたり
同じ部屋で寝てたもの。いつも一緒だったし。
今は広い贅沢な家と部屋だけど、ずっとひとりな気がする。
きっと落ち着いたからなんだろうな
忙しくていっぱいいっぱいな気持ちが、落ち着いたからかもしれない。

そんな事を考えてたら目が覚めてきた。

「夢君?」

パッチリと目を開き
天井を見ながら小声で夢君に話しかける私。
もう寝たかな?

「何だよ」
低いバリトンボイスが男らしいね。
でもいい声してる。歌も上手そう。

「来てくれてありがとう」

素直に言うと返事はなかった。
だから次は反対側の男子に話かける私。

「一夜」

「何?」

「勝手に夢君誘ってごめんね」

一夜に言っても返事はなかった。

怒ってる?


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