溺愛されてもわからない!

「夢君って学校じゃ怖いイメージだよね。あんまり笑わないし、笑ってもイケメンだから笑えばいいのに」

ポソッと言うと一夜が爆笑。

「笑うなよ。別に面白かったら笑うけど、特に面白いワケじゃないから……普通だぞ」

ちょっと声が照れてる気がするよ。

「夢は中学の時は笑顔が可愛いかったなぁ。モテたし」

「タラシのお前には負けます」

「愛情が細かいだけだよ僕は」

「よく言うよ」

私を挟んで会話する2人。
聞いてるだけで楽しいなぁ。

「俺も家がダメになってさ、家族はバラバラで親父なんてほぼ夜逃げで、今まで優しくしてくれてた人達が手のひら返したように冷たくなって、誰も手を貸してくれなくて、俺も一夜と一緒に私立の金持ち高校に行く予定だったけど行けなくなって。もう全部あきらめないといけなくて……ヤケになって……笑えなくなった」

夢君は静かに過去を振り返る。

「ケンカもしたよ。こんな髪だし目立ってたみたいで他の高校や先輩に目を付けられてさ、もう俺なんてどうでもいいって思ってケンカしてたけど最近思うんだ、ばぁちゃんに心配させたら悪いなぁって」

「そうだよ。ケガしたら困る」
強い口調で言う私に「夢はケンカ強いから大丈夫。むしろ相手の方が心配」一夜が笑ってそう言った。

そうなんだ。
うん。夢君強そうだよね。



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