溺愛されてもわからない!

人が居るって安心したまどろみの中
バンザイしたように布団から出た私の手にぬくもりを感じた。

あったかい。

右側の手は優しく包み込んでくれる。
大きな手だけど
しなやかで指が長くて
とっても優しく守ってくれる。

左側の手はゴツゴツしてるけど
しっかり握ってくれる。
私が寂しくないように握ってくれて
寂しくない。

安心すると眠気が増す。

もう落ちます私。

おやすみなさい。



「俺は本気だから……」

左側から聞こえるバリトンボイス
ギュッと左手に力が入る。

「僕もだよ……」

右側から優しいけれど
どこか鋭い声が聞こえた。


何が本気なんだろ

わからないまま

私は眠りについていた。

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